能 「恋重荷」
こんばんは、むすびです。
またまた体調不良で2日空いてしまいましたが、今日はまだましです。
さて、今日ご紹介するのは私が初めて知った能「恋重荷」(こいのおもに)です。
あらすじ
白河院の女御という女性を見た庭掃きの老人山科荘司*1は恋に落ちる。
それに対し彼女の臣下は「庭の重荷を運んで何度も往復すれば姿を見せよう」という白河院の女御の言葉を伝える。
それを聞いた荘司は早速荷物を運ぼうと試みるも、重すぎて全く持ち上げられなかった。
ショックを受けた山科荘司は女御への恨みを抱きながら死んでしまう。
実はその荷物には岩が入っており、荘司の気持ちを諦めさせるための方便だったのだ。
女御とその臣下は荘司の死を悲しむが、そこに荘司の悪霊が現れ女御の身体は岩のように動かなくなってしまう。
彼女に恨みつらみを並べ立てる荘司の悪霊。
しかしその内荘司は、きっと女御の守護霊になると約束して消えていくのだった。
ざっとまとめるとこんなお話です。
特に山科荘司が荷物を運べない場面はかなり悲壮感が伝わってくるものになっています。
荷物の重さ=恋心の重さという発想はなかなか粋ですね。
この事から、恋心が人を変えてしまうほどのパワーがあるという考えは、はるか昔に成立していた事が分かります。
個人的には白河院の女御はさっさと山科荘司に気がない事を伝えればよかったのでは…?(;一_一)と思わずにはいられません。
期待を抱かせ続ける事ほど残酷なものはありませんからね。
その反面、荘司の見守る選択、恨み一辺倒で終わらせないところは日本が昔からもつ人情だなあと思いました。
けれど女御にとってこの結末がいいかどうかは意見が分かれるところで、現代ならストーカー扱いされそうなシーンでもあります…汗
そんな価値観のギャップを感じつつ、今日はこの辺でm(__)m